早慶の架け橋

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新井礼人くん 傷害致死事件 裁判員裁判の傍聴に行ってきた

昨日、裁判員裁判に行ってきました。裁判の対象となった事件はメディアにも取り上げられてた重大事件です。

 

事件の概要

永富直也被告人は、母親と喧嘩をしたため家出をし過去にSNSで知り合った女性宅に3日間の約束で泊めさせてもらっていた。そして、食事や家事を手伝っていた。しかし、被告人は同居相手と当時3歳だった同居相手の息子、新井礼人(あやと)くんと食事をする中で、あやとくんの食事の態度が悪いからという理由で、暴行を加え、死亡させた傷害致死事件。

 

裁判員裁判って?

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東京地裁で、9月13日(水)15:00-16:00に上記事件の第一審の判決が下されました。結果は、被告人に懲役8年判決を言い渡すというものでした。裁判員裁判でした。

ここで、そもそも裁判員裁判がどういうものなのかを簡単に説明しますね。

この制度は、裁判官と国民の中から選任された裁判員とが一緒になって、重大事件を対象として、事実認定、法令の適用、刑の量定を行う制度です。重大事件とありますが、具体的には、原則として死刑又は無期の懲役、禁錮に当たる罪に係る事件ですね。そして、この制度が用いられるのは、第一審のみです。

裁判員の人数は、原則として裁判官3名、裁判員6名です。

真理方法は、9名の過半数以上の賛成です。もっとも、少なくとも裁判官と裁判員がそれぞれ1名以上賛成する必要があります。なお、法令の解釈や訴訟手続などは裁判官の過半数の意見によります。

 

裁判の中身

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私が傍聴したのは、全7回に渡る第一審の公判の最後の判決の回でした。15:00開廷予定でしたが、マスコミの写真撮影の関係で、4,5分おしのスタートでした。私は、裁判傍聴のために14:30くらいから並び始めましたが、あと、5分遅れたら傍聴席の定員オーバーで裁判傍聴できなくなるところでした。裁判員裁判を傍聴したい場合には、早めに並ぶ必要があるということを知りました。

法廷に入ると、検察官や弁護人、そして被告人がいました。起立の合図と共に、裁判官、裁判員たちが入ってきました。

公判が開始すると、裁判長が懲役8年の判決を言い渡しました。その後に大きく以下の3つに分けて、裁判長が話をされました。

 

1. 被告人がどういう暴行を加えたかの判断

被告人側は過去の公判で、一部の暴行(かかと落としやこめかみを掴みながら体を持ち上げた行為)についてしつけをしていたとし否認していましたが、関係証拠から判断して結果、暴行を加えていたことは明らかだということが判断がなされました。

上記否認の根拠として、弁護人はかかと落としの痕跡が残っていないことや1分間こめかみを掴んで持つのは無理なのではないか?ということを挙げていました。

それに対して、裁判長からは、かかと落としはいわゆる格闘技としてのかかと落としではなく、かかとで蹴ったという意味であるとしました。

また、こめかみを掴んで1分間持ち上げることに関しては、被告人の犯行当時の体重や鍛えていたことから可能だと判断されました。

これらの暴行は、被害者の母親であるひとみさんの供述で示されましたが、司法解剖の結果や経験則に基づいた判断からも、ひとみさんの供述の信用性が認められました。

2. 刑を決めた理由

被告人による暴行は断続的に(といってもずっとという意味ではなく、少しの間を挟みながらと裁判長が補足していました)約30分続き、あやとくんは、硬膜下血腫によって、約1日後に死亡しました。

被害者と被告人との体格差があったにも関わらず上記暴行を行ったことや、犯行の動機である食事のしつけについて被告人は一時的に家にいただけであるからしつけをする立場にないことも述べていました。

また、少年時代に傷害の非行歴があったこと、保護士との連絡も断ち、勝手に行動していた過去の行動からも重く処分すべきであると判断されていました。

さらに、情状鑑定の結果からも、被告人の知能が低いこと、生まれつきの資質、育った過程などから今回の事件が起こってしまったとも述べていました。

3. 被告人への一言 

ここからは、裁判官の語り口調も少し変化しました。今までは法律的な見解を述べていましたが、ここからは一人間として話していたといいますか。裁判員たちの言葉も代弁していました。

体格差があったことが分かっていたのか。

毎日あやとくんのために手を合わせていると言っていたが被告人の態度は良いようには伝わってこなかった。

性格、粗暴な振る舞いはなかなか変わらないが、これから十分に反省時間はある。

自分の気持ちの押さえ方は訓練しないと、被告人の体格からまた次に同じようなことが起きかねない。

被告人は20代に入ったばかり。刑罰を受けた後に、社会復帰を。被告人の母親もサポートすると言っている。

裁判員裁判を傍聴してみて

初めて裁判員裁判を傍聴しましたが、裁判員の方たちは一般の国民で、裁判中は何も話されませんでしたが、その目は、裁判官以上に被告人を見つめていました。

人間は、大小を問わず過ちを犯しながら生きていきますが、取り返しのつかない過ちを犯してしまった場合どうしたら良いのでしょうか?

私自身、たくさん親に迷惑をかけ生きてきました。今思うこととしては、その時にいかに本気でそのことを反省し、次にミスを犯さず生きていけるかどうかが重要だということです。

やってしまったこと、起こってしまったことはこの世から決して消えません。そのことは永遠に残ります。そこで、いかに反省できるか。

そして、社会全体に言えることとしては、そもそもそのことが起こらないようにしっかりとした教育がなされているか、家庭環境が整備されているかだと思います。

性善説性悪説とかありますが、自身が持っている遺伝子よりも、その後の教育が本当に大事です。まずは、正しいことを知ること。そして、自分を良く作ること。そういう一人一人がこの社会を埋めつくすならば、社会は良くなると思います。

少し話がそれましたが、裁判傍聴に行って多くのことを学びました。これからこの社会とどう向き合うか、何が正しいことなのか等も私なりに発信していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

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